車椅子で京都めぐりの体験

4月某日、京都の車椅子外出支援のシミュレーションのため、東京から1名、京都出身の2名、計3名のスタッフが京都駅に集合いたしました。最初の目的地は、鳥居の並びが美しい伏見稲荷。京都駅からの移動は、当社スタッフが所有する福祉タクシー(Voxy)を使用。事前に車椅子と電動モビリティWHILLを積載し、京都駅を10時に出発。いよいよ旅のスタートです。

目次

伏見稲荷神社

約15分ほど車で走り、伏見稲荷に到着。駐車場はやや混雑していましたが、待ち時間なく駐車スペースを確保。まずはWHILLの出動です。人気の高い伏見稲荷の参道へと向かいました。

敷地内は車椅子でも快適に移動できるよう整備されているため、WHILLでの走行にも問題はありません。ただし、人の多さが行く手を阻みます。お土産物のショップを覗くのは、やや難しい印象でした。

敷地内には段差も多く見られましたが、WHILLのふかふかなシートのおかげで振動が身体に伝わりにくく、負担がかなり軽減されている印象です。人の多いエリアさえ抜ければ、移動は快適そのものです。 なお、数箇所で敷き詰められた石が少なくなっており、段差が生じている箇所もありましたが、目視で確認しながら進み、3名で交代しながらルートを確認していきました。

立地上、坂道がいくつかありますが、一箇所、傾斜の強い坂道があり、ヒヤッとするシーンも。WHILL自体は安全に走行していたものの、傾斜の強さから一瞬の恐怖心を感じる場面があり、実際に利用者様の目線で体験することの大切さを改めて実感しました。

人気の千本鳥居は人が長蛇の列で、進みも遅かったため断念。

伏見稲荷参道茶屋

ランチや休憩ができそうなお店をチェックしながら歩き、大社の入口にある「伏見稲荷参道茶屋」に入ることに。店員の方に車椅子での入店が可能か確認したところ、快く承諾をいただけました。

京都らしい和の雰囲気を堪能できる店で、ここの席までWHILLで移動できました。ドリンクもとても美味しく(画像は左側がきなこオーレ、右側は抹茶オーレ)、伏見稲荷での休憩にはぜひお立ち寄りいただきたい、素敵なお店です。

私たちは少し奥の席に座らせていただいていましたが、退店時には人が増えており、遠回りして出ようとしたところ、海外から訪れていたお客様が道を開けてくださいました。思いがけず人の優しさに触れ、あたたかい気持ちで次の目的地へと向かいました。

伏見稲荷参道茶屋Instagram

清水寺

お次は人気の高い、清水寺です。こちらは到着時点で11時を過ぎ、すでに非常に人が多く、京都ならではの道の狭さに車の移動に苦戦しつつ、入口にある駐車場に。到着時点でかなりの雨がふっていたため、ここでは徒歩移動をすることに決定。
ちゃわん坂はあまりの人の多さに、徒歩での観光もあきらめました。

なお、一般駐車場からの移動は、伏見稲荷同様、人の多さの影響で移動に手間取ることが多かったのですが、清水寺の本堂すぐ近くに専用の駐車場があり、事前に連絡をすることで利用できるようです。

こちらからは特に快適な誘導となっていたので、非常におすすめです。車椅子用のバリアフリーマップもご用意があったので、どうぞご参考ください。

清水寺バリアフリーマップ

だんだんと雨が強くなっていたのと、この時間帯の車椅子での参拝は非常に難しそうに感じたため、ここで下見観光は断念。早めの撤退を決定し、ランチにすることにしました。

菓寮伊藤軒 本店

移動してたどり着いたのは、清水寺から20分ほどの位置にある「菓寮伊藤軒 本店」です。元治元年(1864年)に創業された老舗和菓子屋さんで、京都の中にいくつか店舗がありますが、本店ではカフェがあり、また車椅子利用もOK。

車椅子でのランチがどのような感じかを掴むため、こちらではWHILLを休ませ、車椅子で移動。店内は段差がないので移動がしやすく、おしゃれでありながら居心地の良さを感じるお店です。

本店のランチメニューは野菜が目玉。なのでお肉系料理がなく、男性には物足りないのでは…と思っておりましたが、実際に提供されたものはかなりのボリューム!

野菜がしっかり「おかず」として美味しく調理されており、量も味も大満足でした。またカフェメニューとして、フルーツたっぷりのパフェなどもあり、ランチ以外の利用にもピッタリです。
なお、訪れたのは平日で、観光地から離れた場所でしたが、人気のようで席につくまでには少し待ち時間がありました。事前予約も可能とのことなので、スケジュールを組んで観光されたい場合は、事前予約をおすすめします。

また館内には和菓子の体験工房(要予約)ができるスペースや、オリジナルの商品も充実しており、どれも魅力的ながらかなりリーズナブル。そしてとっても美味しい…!(全員お土産買いました)
車旅行される方には、ぜひとも寄っていただきたい、と強く感じた素敵なお店でした。

そしてこのタイミングで、最後にどこへ訪れるかを話し合うことになりました。この時点でも天気が非常に不安定だったため、「館内で過ごせる場所」も選択肢に上がりましたが、ただ、ここまでの流れを振り返り、3名のスタッフの間で共通する懸念が明確になってきました。それは、「有名な人気神社は、魅力的である一方で、訪問自体が非常に疲れる」ということです。

皆がよく知る人気の場所は、それだけに魅力のあるスポットですが、その分、混雑しており、移動に時間がかかったり、待ち時間が発生したりします。 さらに、人の多さから「京都らしさ」といった雰囲気が十分に味わえないのでは、という不安もぬぐいきれませんでした。

そんな問題点を解決するべく、「有名でなくとも、神社特有の雰囲気を堪能してもらえる場所はどこだ」ということで、菓寮伊藤軒から車で6分で辿り着ける藤森(ふじのもり)神社に向かうことが決定しました。

菓寮伊藤軒公式サイト

藤森神社

すぐに到着した藤森神社は勝運・学問と馬の神社。人は少なく、近所の方が参拝や通り道として利用されていました。地元感があるなかで、シンとした空気感があり、神社の重厚な佇まいには感慨深いものがありました。雨が降ったあとで地面がぬかるんでいたこともあり、こちらでは再度WHILLが登場。一部のみ段差がありましたが、拝殿もWHILLに乗ったまま参拝が可能です。

ゆったりとしたスペースだったので、車椅子でも全く問題ありません。

伏見稲荷、清水寺の壮大なスケールの良さ、また周囲の観光地も大変魅力ですが、こういった「知る人ぞ知る」といった神社にこそある独特の雰囲気も、ぜひ京都に来た際に味わっていただきたい。そう思える場所でした。

ここでシミュレーション旅は終了。時間は16時前でした。

まとめ

今回の旅で強く感じたポイントは、

  • 人気の神社は朝イチがおすすめ
  • 車椅子可の神社も人の多さによって、難易度や必要な時間が大きく変わる
  • 人気の神社で参拝希望の場合は多めに時間確保が必須
  • 穴場の神社の雰囲気を楽しむ「通」な旅行もあり

です。
京都観光をご希望いただいた際、今回の経験を生かし、素敵な思い出ができる旅の提供をしたいと思います!

おまけ(スタッフもWHILLを試しました)

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